【R1測量士試験過去問題解説 第1回】午前No.1, No.2

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、R1年度試験版の第1回です。

以下、「国土地理院」サイト令和元年5月19日の問題を引用して解説して行きます。

[R1-午前No.1 問題] (以下引用開始)

〔No.1〕

  次のa~eの文は,測量法(昭和 24 年法律第 188 号)に規定された事項について述べたものであ る。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。   

a. 公共測量を実施する者は,当該測量において設置する測量標に,公共測量の測量標であること及 び測量計画機関の名称を表示しなければならない。  

b. 測量計画機関は,自ら計画した測量を実施してはならない。   

c. 基本測量及び公共測量以外の測量を実施しようとする者は,あらかじめ,国土交通省令で定める ところにより,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。   

d. 基本測量若しくは公共測量に従事する者又はその他の者で,基本測量又は公共測量の測量成果を して,真実に反するものたらしめる行為をした者は,懲役又は罰金に処する。   

e. 基本測量の測量成果及び測量記録の謄本又は抄本の交付を受けようとする者は,国土交通省令で 定めるところにより,国土交通大臣に申請をしなければならない。

1.a,c
2.a,d
3.b,d
4.b,e
5.c,e

(引用終了)

解答は4です。以下解説して行きます。

a は、測量法第三十七条を引用しますと、 『 公共測量を実施する者は、当該測量において設置する測量標に、公共測量の測量標であること及び測量計画機関の名称を表示しなければならない。』とあります。よって正しい。

bは、 測量法第七条を引用しますと『この法律において「測量計画機関」とは、前二条に規定する測量を計画する者をいう。測量計画機関が、自ら計画を実施する場合には、測量作業機関となることができる。 』とあります。よって間違いです。ここまでで、正答は3か4だけになりました。

cは、 測量法第四十六条を引用しますと、 『 基本測量及び公共測量以外の測量を実施しようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 』とあります。正しいので、5は正答ではない事が確認されました。

dは、 測量法第六十二条を引用しますと、『次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。一 基本測量若しくは公共測量に従事する者又はその他の者で、基本測量又は公共測量の測量成果をして、真実に反するものたらしめる行為をした者 』とあります。正しいので、正答は4となります。

eは、 間違い だと思いますが確認します。測量法第二十八条を引用しますと『基本測量の測量成果及び測量記録の謄本又は抄本の交付を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土地理院の長に申請をしなければならない。』とあります。 国土交通大臣 ではないのでやはり間違いです。

引き続き、 R1-午前No.2 問題 を解説して行きます。

[R1-午前No.2 問題] (以下引用開始)

〔No.2〕

次のa~eの文は,国際地球基準座標系(International Terrestrial Reference Frame)(以下 「ITRF」という。)について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次 の中から選べ。

a. ITRF は,GNSS などの宇宙測地技術を用いた観測に基づき構築・維持されている。   

b. ITRF の X 軸は経度 0 度の子午線と赤道の交点を通る直線である。   c. ITRF の Y 軸は東経 90 度の子午線と赤道の交点を通る直線である。   d. ITRF で表される三次元直交座標(X,Y,Z)の Z の値は,標高である。 e. 日本の測地成果は,ITRF が更新されると連動して更新される。

1.a,c
2.a,e
3.b,c
4.c,d
5.d,e

(引用終了)

解答は5です。以下解説して行きます。

aは、 「日本の測地系-国土地理院」サイト から、『日本の測地系は、世界測地系(ITRF:国際地球基準座標系)に基づいています。 』とあり、『 日本経緯度原点の位置は、VLBI、GNSS等の宇宙測地技術によって構築された世界測地系に従って地球上どの位置にあるか決められています。 』とあります。よって正しい。正答の可能性は3,4,5になりました。

bは、 「日本の測地系-国土地理院」サイト の準拠楕円体の図から正しい。よって、正答は4,5しかなくなりました。

cは、 「日本の測地系-国土地理院」サイト の準拠楕円体の図から正しい。 よって、正答は5しかなくなりました。

dは、 間違いだと思いますが確認します。 「日本の測地系-国土地理院」サイト から、『標高については東京湾平均海面からの高さです。標高は楕円体面からの高さではなく、ジオイド面からの高さとなります。 』とあります。よって 標高 は、Z軸の座標値としては使用されないのでやはり間違いです。

eは、 間違いだと思いますが確認します。 「日本の測地系-国土地理院」サイト からは、はっきりと読み取れません。測量法第十一条を少し長いですが引用しますと、『基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。一 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。二 距離及び面積は、第三項に規定する回転楕だ円体の表面上の値で表示する。三 測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする。ただし、離島の測量その他特別の事情がある場合において、国土地理院の長の承認を得たときは、この限りでない。四 前号の日本経緯度原点及び日本水準原点の地点及び原点数値は、政令で定める。2 前項第一号の地理学的経緯度は、世界測地系に従つて測定しなければならない。3 前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。一 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。二 その中心が、地球の重心と一致するものであること。三 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。 』とあります。 条文から日本の測地成果は、世界測地系 に従わなくてはならない事は明記されていますが、世界測地系が更新されると連動して更新されるとは明記されておりません。よって間違いです。

以上です。

ここまで近づける事は稀な夙川縁にて

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