【H28測量士試験過去問題解説 第12回】午前No.28

測量士試験の過去問題を解くシリーズH28年度第12回目です。


今回はH28年度午前No.28の問題を解いていきます。

[H28-午前No.28 問題]

平野部を流れる河川において,図28に示す河川横断面図を作成するために定期横断測量を実施した。この定期横断測量は,水際杭B及びCを境にして,左岸陸部,水部,右岸陸部の三つに分け,左岸陸部は左岸距離標を,右岸陸部は右岸距離標を基準として測定し,水部は深浅測量により測定した。なお,左岸側の水際杭Bは,左岸距離標からの視認が困難であるため,見通杭Aから測定している。
次のページの表28-1は,この定期横断測量において実施した点検測量結果の一部を示したものであり,表28-2は,表28-1を精度管理表にまとめ直したものである。表28-1及び表28-2の[ ア ]~[ オ ]に入る数値の組み合わせとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。
ただし,点検測量値の較差の許容範囲は,次のページの表28-3のとおりとし,sokuryoushi_shiken_H28_28_bun1 , 

sokuryoushi_shiken_H28_28_bun2 , 

sokuryoushi_shiken_H28_28_bun3とする。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数票を使用すること。


   ア		イ	ウ	エ	オ
1. 184.706	0.008	0.176	0.088	292.637
2. 184.706	0.008	0.176	0.088	292.649
3. 184.706	0.008	0.585	0.079	292.649
4. 184.710	0.004	0.176	0.079	292.649
5. 184.710	0.004	0.585	0.088	292.637

sokuryoushi_shiken_H28_28zu (2)

sokuryoushi_shiken_H28_28hyou1

sokuryoushi_shiken_H28_28hyou2

sokuryoushi_shiken_H28_28hyou3

この問題は、与えられている図表と問題文中の値・式を用いて、表の空欄を埋める計算問題です。

(ア)から順に解いていきます。
(ア)は、点検測量における、左岸距離標から水際杭Bへの測定距離の値にあたります。
左岸距離標から水際杭Bへの測定距離は、図28より、左岸距離標から見通杭Aへの測定距離に見通杭Aから水際杭Bへの測定距離を足し合わせたものにあたるので、
表28-1より、それらの点検測量値を取り出して足し合わせると、
(ア) = sokuryoushi_shiken_H28_28_shikiA
となります。

(イ)は、左岸距離標から水際杭Bへの測量における、測定値と点検測量値の較差にあたります。
較差は、測定値と点検測量値の差にあたるので、表28-1よりそれらの値を取り出して差の絶対値を求めると、
(イ) = sokuryoushi_shiken_H28_28_shikiI
となります。

(ウ)は、右岸距離標から水際杭Cへの測量における、距離測定の較差の許容範囲にあたります。
これは、表28-3より、sokuryoushi_shiken_H28_28_shiki_kyorikyoyouhani(Lは距離)の式で求められるので、こちらに表28-1より取り出した測定値を入れて計算すると、
(ウ) = sokuryoushi_shiken_H28_28_shikiU
となります。

(エ)は、左岸距離標から水際杭Bへの測量における、標高の点検測量地の較差の許容範囲にあたります。
これは、表28-3より、sokuryoushi_shiken_H28_28_shiki_hyoukoukyoyouhani(Lは距離)の式で求められるので、こちらに表28-1より取り出した測定値を入れて計算すると、
(エ) = sokuryoushi_shiken_H28_28_shikiE-1
ここで、問題文より、sokuryoushi_shiken_H28_28_bun2であるため、
(エ)sokuryoushi_shiken_H28_28_shikiE-2
となります。

(オ)は、左岸距離標を0.000(m)とした、水際杭Cの水平位置(左岸距離標から水際杭Cへの距離)の点検測量値にあたります。
図28より、左岸距離標を0.000(m)とした、右岸距離標の水平位置は380.710(m)であるため、この値から、表28-1より右岸距離標から水際杭Cへの点検測量値を取り出して、差を求めると、
(オ) = sokuryoushi_shiken_H28_28_shikiO
となります。

上記より、正答は1となります。

求める値はすべて、与えられている値を足し引き、あるいは与えられている式に代入して計算するだけで求められる(無理数の近似値も問題文中で示されている)ため、計算自体はとても簡単な問題です。
計算に用いる値を間違えないように気を付けてください。(測定値と点検測量値の取り違え、標高の点検測量地の較差の許容範囲を求める際に標高でなく距離の値を用いる、等)

No.28の解説は以上です。

また、H28年度午前の問題の解説は今回で終了となります。
ご覧いただき、ありがとうございます。

「【H28測量士試験過去問題解説 第12回】午前No.28」への6件のフィードバック

  1. 続けて質問です。
    (ウ)の解説で、『点検測量値を入れて』とありますが、点検測量値は点検測量で出た値ですよね?
    許容範囲の計算で、点検測量値を使って計算してもよいのでしょうか?
    (結果答えは同じになりますが)
    よろしくお願いします。

    1. コメントありがとうございます。
      ご指摘いただいた箇所を修正いたしました。
      何度も申し訳ございません。

      また改めてご覧いただけると幸いです。

      1. ありがとうございました。
        こちらこそ何度もすいません。
        今後とも宜しくお願いします。

  2. ありがとうございました。
    いつも利用させてもらっています。
    助かります。

  3. お世話になります。
    この問題の(エ)の解説で、『点検測量値を入れて計算』とありますが、数値をみると184.714と測定値の数値だと思うのですが、どちらが正しいでしょうか?

    1. コメントありがとうございます。
      ご指摘いただいた箇所を修正いたしました。
      ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

      改めてご覧いただけると幸いです。

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