【R3測量士試験過去問題解説第6回】午前No.18

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第6回です。

以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。

〔No.18〕
 標高が200 mから500 mまでの範囲にある土地の鉛直空中写真撮影で,撮影範囲全体にわたって同一コース内の隣接空中写真間の重複度が最小で60 %となるように計画したい。撮影基準面の標高を200 mとするとき,撮影基準面における同一コース内の隣接空中写真間の重複度は何%となるか。最も近いものを次の中から選べ。
 ただし,画面距離 7 cm,画面の大きさ17,000画素×11,000画素,撮像面での素子寸法 6 μmのデジタル航空カメラを使用するものとし,画面短辺が撮影基線と平行であるとする。また,空中写真の撮影は等高度で,撮影基線長は撮影範囲全体にわたって一定であるとし,撮影基準面での地上画素寸法は15 cmとする。
 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

1. 57%
2. 62%
3. 67%
4. 72%
5. 83%

解答は3です。以下、解説です。

 この問題では撮影基準面での隣接空中写真の重複度(以下:OLと表記)を求める問題です。問題文中でこのOLについて数値付きで言及があるのは最小OLが60%となるという部分です。ここでOLが最小となるのは撮影範囲で標高が最も高い部分である標高500mの範囲の土地を撮影するときです。そのため、標高200mのときの撮影状況と、標高500mの撮影状況を比較することで解が得られます。

 まずは、多くの情報が与えられている撮影基準面で撮影した際の情報を図にしてみます。

 与えられている情報を整理すると上図のようになります。ここから撮影基準面での撮影高度Hを求めます。
三角形の比を用いて
6×10-6:0.15=0.07:H  ※(計算しやすいように単位をmに統一しています)
(6×10-6)×H=0.07×0.15
6×10-6H=0.0105
H=0.0105/6×10-6
H=1750m
 以上より撮影基準面での撮影高度は1750mと求められました。
 これにより、撮影は等高度で行われているため標高500mのときの撮影高度H’を求めることができます。
H’=1750-(500-200)
H’=1450m

 次に問題文中で撮影範囲全体にわたって一定と述べられている撮影基線長を求めます。
撮影基線長を求める公式は

B:撮影基線長
S:写真画面の長さ
OL:隣接空中写真間の重複度

を用います。

 ここで先に撮影基準面の写真画面の大きさを求めます。
画面短編が撮影基線と並行なので画素数の少ない11000画素と撮影基準面の地上画素寸法15cmを用います。
0.15×11000=1650m
 撮影基準面の写真画面の大きさを求めることができましたが、OLが分からないので上式に当てはめることができません(撮影基準面のOLを求める問題のため当たり前ではあるが)。そこで文中にある最小OL60%のとき、つまり標高500mでの撮影時の写真画面の大きさを求めます。

 上図のように標高200mの時と標高500mの2つの撮影時の値を三角形の比で比較して計算を行います。
1750:1450=1650:S’
1750×S’=1650×1450
1750S’=2392500
S’=2392500/1750
S’=1367.1⋯≒1367m

標高500mの時の撮影基線長は
B=S’{1-(OL/100) }
B=1367{1-(60/100) }
B=1367・0.4
B=546.8m

 撮影基線長は546.8mと求められました。問題文中「撮影基線長は撮影範囲全体にわたって一定」とあるので異なる標高であっても撮影基線長は変わりません。そこで式に撮影基準面である標高200mの時の値を用いてOLを求めます。

B=S{1-(OL/100) }
546.8=1650{1-(OL/100) }
546.8=1650-16.5OL
16.5OL=1650-546.8
16.5OL=1103.2
OL=1103.2/16.5
OL=66.8⋯≒67

よってOL=67%となり、選択肢3が正解となります。

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