「測量士試験過去問題解説」カテゴリーアーカイブ

【R3測量士試験過去問題解説第3回】午前No.8

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第3回です。

以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。

正解は3です。下記の4ステップで求めます。

ステップ1
方位角TAを求めます。

ステップ2
方位角T2を求めます。

ステップ3
方位角Tを求めます。

ステップ4
方位角Tの標準偏差を求めます。

ステップ1
方位角TAを求めます。

β1=107°、T0=303°より
TA = β1 – (360°- T0) = 107°- (360°- 303°)=50°

ステップ2
方位角T2を求めます。

TAはステップ1よりTA=50°、TA’は線Xが平行なので錯角によりTA’=50°、 β2=211°
以上より
T2 = β2 – (180°- TA’) = 211°– (180°- 50°) = 81°

ステップ3
方位角Tを求めます。

T2はステップ2よりT2=81°、
T2’は線Xが平行なので錯角によりT2’=81°、
β3=168°
以上より
T = β3 – (180°- T2’) = 168 °– (180°- 81°) = 69°

ステップ4
方位角Tの標準偏差を求めます。
誤差伝搬の法則より方位角Tの標準偏差Mは

巻末の関数表より

よって方位角69°、方位角Tの標準偏差7.3”の3が答えになります。

【R3測量士試験過去問題解説第2回】午前No.5

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第2回です。

以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。

〔No.5〕
ある試験において,受験者の点数の平均が60点,標準偏差が10点の結果を得た。受験者の点数の分布が,近似的に平均μ,標準偏差σの正規分布に従うと仮定した場合,80点以上90点以下の人の割合は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。ただし,正規分布の性質から,μ±σの範囲に入る確率は68.3%,μ±2σの範囲に入る確率は95.5%,μ± 3σの範囲に入る確率は99.7%とする。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

1. 0.3%
2. 2.1%
3. 2.3%
4. 4.2%
5. 4.5%

正解は2です。下記の2ステップで求めます。

ステップ1
与えられた情報を図にまとめます。

ステップ2
点数が80点以上90点以下の人の割合を求めます。

ステップ1
与えられた情報を図にまとめます。問題で与えられた情報を正規分布のグラフに整理すると、このようになります。

ステップ2
点数が80点以上90点以下の人の割合を求めます。ステップ1の図を確認すると点数が30点以上90点以下の人の割合は99.7%、40点以上80点以下の人の割合は95.5%であることがわかります。このことから点数が30点以上40点以下の人の割合と80点以上90点以下の人の割合の合計は

99.7 – 95.5 = 4.2

4.2%の中で点数が80点以上90点以下の人の割合は半分なので

4.2÷2=2.1

よって点数が80点以上90点以下の人の割合は2の2.1%になります。

【R3測量士試験過去問題解説 第1回】 午前No.4

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第1回です。

以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。

〔No.4〕  
図4に示すような三次元直交座標系において,ある点(x,y,z)をZ軸の周りに図4で示す方向にθ回転させたときの点(x’,y’,z’)の座標は,次の式4で表される。

点P(2.000,-1.000,3.000)をZ軸周りに図4で示す方向に60°回転させたとき,移動後の点P’の座標は,式4より,点P’(1.866,1.232,3.000)となる。この点P’(1.866,1.232,3.000)を,さらにX軸の周りに図4で示す方向に30°回転させたとき,移動後の点P”の座標は幾らか。Z軸周りの回転を表す式4を参考に,X軸周りの回転を表す式を立てて計算し,最も近いものの組合せを次の中から選べ。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

正解は4です。下記の2ステップで求めます。

ステップ1
X軸周りの回転を表す式を求めます。

ステップ2
ステップ1で求めた式を使用して回転後の座標を求めます。

ステップ1
X軸周りの回転を表す式を求めます。 まずは考えやすくするために、図4のX軸を上に向くように回転させます。

与えられた式4は図を変換させる前のZ軸を反時計回りに回転させた式であり、変換後のX軸を反時計回りに回転させた式は次のように変換できます。

ステップ2
ステップ1で求めた式を使用して回転後の座標を求めます。 点P’(1.866,1.232,3.000)をX軸周り30°回転させた点P”を求める式は

となります。計算すると、

y” = cos30°× 1.232 +  -sin30°× 3.000 +  0 × 1.866
 ≒ -0.433
z” = sin30°× 1.232 +   cos30°× 3.000 +  0 × 1.866
 ≒ 3.214
x” =  0 × 1.232 +  0 × 3.000 + 1 × 1.866
 ≒ 1.866

よって点P’(1.866,1.232,3.000)をX軸周り30°回転させた点P”は4の(1.866、-0.433、3.214)になります。

R2測量士試験過去問題解説 第10回】午前No.27

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和元年度試験版の第10回です。

以下、「国土地理院」サイト令和元年5月19日の問題を引用して解説して行きます。

 〔No.27〕   
 境界点A,B,C,Dで囲まれた四角形の土地の面積を求めたい。点Bは直接観測できないため,補 助基準点Pを設置し,点A,P,C,Dをトータルステーションを用いて測量し,表 27 に示す平面直 角座標系(平成 14 年国土交通省告示第9号)における座標値を得た。点A,B,C,Dで囲まれた四 角形の土地の面積は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
 ただし,補助基準点Pから点Bまでの距離は 10.000 m,点Pにおける点Bの方向角は 240°とする。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

正解は5です。下記の3ステップで求めます。

ステップ1 ステップ3で計算しやすいように、D点を原点とした場合の、D 点 からA,P,C点への相対的な座標である A’,P’,C’,D’点 を計算します。

ステップ 2 P’点からB’点を求めます。( B’点 は、D点 を原点とした場合の、 D点からB点への相対的な座標です。)

ステップ 3 与えられた4頂点から四角形の面積を求める公式を使用して四角形A’B’C’D’の面積を求めます。

ステップ1
ステップ3で計算しやすいように、D点を原点とした場合の、D 点 からA,P,C点への相対的な座標である A’,P’,C’,D’点 を計算します。

A’=A - D
 =(x1, y1)
 =(13097.000 – 13070.500, 15046.000 – 15041.000)
=(26.500, 5.000)
P’=P - D
 =(13105.500 – 13070.500, 15073.000 – 15041.000)
  =(35.000, 32.000)
C’=C - D
  =(x3, y3)
 =(13075.500 – 13070.500, 15072.500 – 15041.000)
 =(5.000, 31.500)
D’=D - D
 =(x4, y4)
 =(13070.500 – 13070.500, 15041.000 – 15041.000)
=(0.000, 0.000)

ステップ2
P’点からB’点を求めます。( B’点 は、D点 を原点とした場合の、 D点からB点への相対的な座標です。)

問題文より、点Pから 点Bまでの距離は 10.000 m,点Pにおける点Bの方向角は 240° であることから、下記の様に求められます。

B =P+ (cos240° ×10.000 , sin240°×10.000)
より、
B-D=P+ (cos240° ×10.000 , sin240°×10.000) -D
B’=P’+ (cos240° ×10.000, sin240°×10.000)
 =(x2, y2)
 =(35.000 – 0.500 × 10.000, 32.000 – 1.732 ÷ 2.000 × 10.000)
 =(30.000 , 23.340)

ステップ3
与えられた4頂点から四角形の面積を求める公式を使用して四角形A’B’C’D’の面積を求めます。

ステップ1とステップ2から、 点 A’B’ C’D’ の座標は下記のようになります。
A’=(x1, y1) =(26.500, 5.000)
B’=(x2, y2) =(30.000 , 23.340)
C’=(x3, y3) =(5.000, 31.500)
D’=(x4, y4) =(0.000, 0.000)

S=与えられた4頂点から四角形 A’B’C’D’ の面積を求める公式より
 =0.5×(x1y2 – x2y1 + x2y3 – x3y2 + x3y4 – x4y3 + x4y1 – x1y4)
 =0.5×(x1y2 – x2y1 + x2y3 – x3y2)   ※ x4とy4は0のため
 =0.5×(26.500 × 23.340 – 30.000 × 5.000 + 30.000 × 31.500 – 5.000 × 23.340)
 =0.5×1296.810
 =648.405

よって解答は5となります。
ある点からの相対的な点を求めたり、与えられた頂点から四角形の面積を求める公式を覚えていないと計算がとても煩雑になります。

以上です。

[夙川のみなもの下に広がる地図のような模様]

R2測量士試験過去問題解説 第9回】午前No.25

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和元年度試験版の第9回です。

以下、「国土地理院」サイト令和元年5月19日の問題を引用して解説して行きます。

 〔No.25〕   
 図 25 に模式的に示すように,基本型クロソイド(対称型)の道路建設を計画した。点A及び点Dを クロソイド曲線始点,点B及び点Cをクロソイド曲線終点とし,クロソイドパラメータは 150 m,円曲線の曲線半径 R=250 m,円曲線の中心角θ=30°,円周率π=3.142 とするとき,点Aから点Dの路線長は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

  1. 221 m
  2. 266 m
  3. 311 m
  4. 336 m
  5. 361 m

解答は3です。以下解説します。

方針としまして、AB間、BC間、CD間の距離を分割して求めた距離を使用してAからDの路線長を求めます。

AB間とCD間の距離は、クロソイド曲線で表されます。
L=クロソイド曲線の長さ,
R=円曲線の曲線半径,
A=クロソイドパラメータ
と置くと、クロソイド曲線の公式から、

L×R=A^2             …①

が成り立ちます。

クロソイド曲線のAB間またはCD間の距離は等しいのでどちらもLと置けます。
問題文より、

R=250m,
A=150m

と与えられていますので、

AB間またはCD間の距離
=L
=(A^2)÷R              …①より
=(150×150)÷250
=90m               …②

となります。

BC間の距離は、 円曲線として表されます。
θ=円曲線の中心角,
π=円周率,
R=円曲線の曲線半径
と置くと、

円曲線の距離=2×Π×(θ÷360)×R   …③

が成り立ちます。
問題文より、

Π=3.142,
θ=30°,
R=250m

と与えられていますので、

BC間の距離
= 2×Π×(θ÷360)×R       …③より
= 2×3.142×(30÷360) ×250
≒130.92              …④

となります。

上記②と④の結果から、

AD間の路線長=AB間の距離+BC間の距離+CD間の距離
≒90+130.92+90
≒310.92       …⑤

となります。
⑤ と問題文の選択枝の中で最も近い値は3番の311mとなります。

以上です。

[仕事始めの前に通りかかったニテコ池から甲山を望む]