昨年に引き続き、測量士試験の過去問題を解くシリーズです。
今年も法規&計算問題の解説をお届けします。
今回はH28年度午前No.1の問題を解いてみましょう。
[H28-午前No.1 問題] 次のa~eの文は,測量法(昭和24年法律第188号)に規定された事項について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合わせはどれか。次の中から選べ。 a. 「基本測量及び公共測量以外の測量」とは,基本測量及び公共測量の測量成果以外を使用して実施する測量をいう。 b. 測量を実施しようとする者は,公共測量において測量標を設置した測量計画機関の承認を得ずに当該公共測量の測量標を使用することができる。 c. 測量士又は測量士補となる資格を有する者は,測量士又は測量士補になろうとする場合においては,国土地理院の長に対してその資格を証する書類を添えて,測量士名簿又は測量士補名簿に登録の申請をしなければならない。 d. 測量業者は,その営業所ごとに測量士又は測量士補を一人以上置かなければならない。 e. 基本測量若しくは公共測量に従事する者又はその他の者で,基本測量又は公共測量の測量成果をして,真実に反するものたらしめる行為をした者は,懲役又は罰金に処する。 1. a, b, d 2. a, b, e 3. a, c, e 4. b, c, d 5. c, d, e
まずは解答例から。
- dは誤りで、正しくは「~測量士を一人以上~」。よって、正答は1 or 4となる。
- b,dは1,5の両方に含まれるため、a,cの片方が間違っており、それが含まれる方が正答となる。
- cの記述は正しい。
- 2,3から、正答は1
となります。さて、この問題、測量士補の登録をした方にとっては特にサービス問題だったのではないでしょうか。「国土地理院の長へ登録の申請」してますもんね。それではa~eの文を見ていきましょう。問題文から明らかですが、a~eそれぞれ対応する測量法(以下、法と表記)の条文があります。
a. 「基本測量及び公共測量以外の測量」とは,基本測量及び公共測量の測量成果以外を使用して実施する測量をいう。
→誤り
該当するのは法第六条です。というか、この選択肢が正しいとすると基本測量及び公共測量は基本測量及び公共測量の成果のみ使用して実施する羽目になりそうな…。
(基本測量及び公共測量以外の測量)
第六条 この法律において「基本測量及び公共測量以外の測量」とは、基本測量又は公共測量の測量成果を使用して実施する基本測量及び公共測量以外の測量(建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く。)をいう。
b. 測量を実施しようとする者は,公共測量において測量標を設置した測量計画機関の承認を得ずに当該公共測量の測量標を使用することができる。
→誤り
該当するのは法第二十六条です。法第三十九条で公共測量に準用されています。承認を得て使用することができます。
(測量標の使用)
第二十六条 基本測量以外の測量を実施しようとする者は、国土地理院の長の承認を得て、基本測量の測量標を使用することができる。
c. 測量士又は測量士補となる資格を有する者は,測量士又は測量士補になろうとする場合においては,国土地理院の長に対してその資格を証する書類を添えて,測量士名簿又は測量士補名簿に登録の申請をしなければならない。
→正しい
該当は法第四十九条です。国土交通大臣と国土地理院の長の役割に注意しましょう。養成施設の登録は国土交通大臣です。
(公共測量の表示等)
第四十九条 次条又は第五十一条の規定により測量士又は測量士補となる資格を有する者は、測量士又は測量士補になろうとする場合においては、国土地理院の長に対してその資格を証する書類を添えて、測量士名簿又は測量士補名簿に登録の申請をしなければならない。
d. 測量業者は,その営業所ごとに測量士又は測量士補を一人以上置かなければならない。
→誤り
該当は法第五十五条の十三で、×測量士又は測量士補→○測量士です。
(測量士の設置)
第五十五条の十三 測量業者は、その営業所ごとに測量士を一人以上置かなければならない。
e. 基本測量若しくは公共測量に従事する者又はその他の者で,基本測量又は公共測量の測量成果をして,真実に反するものたらしめる行為をした者は,懲役又は罰金に処する。
→正しい
該当は法第六十二条。この選択肢は昨年の午前問題No.1と全く同じですね。こちらを参照。
選択肢e.もそうですが、d.も昨年の午前問題No.1とほぼ同じ選択肢ですね。昨年の問題とも対比しながら解説していきたいと思います。
というところで、続きはまた今度。