「測量士試験過去問題解説」カテゴリーアーカイブ

【R3測量士試験過去問題解説第8回】午前No.27

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第8回です。
以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。
〔No.27〕
 表27は,面積 1,432.000m2の四角形ABCDの土地を構成する各境界点の平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)に基づく座標値を示す。公共測量によって,この土地を図27で示すように,面積の等しい四角形ABEF及びFECDの 2つの土地に分割したい。
 点EをBE=ECとなる位置に設置したとき,点FのY 座標値は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

1. +27.629m
2. +29.351m
3. +31.077m
4. +33.357m
5. +37.000m

解答は3です。以下、解説です。

まず、点Eの座標を求めます。
問題文よりBE=ECだから、点Bと点Cの中間地点に点Eがあります。
なので点Eの座標は
X=40-(40-28/2)=34
Y=60-(60-8/2)=34
点E(X,Y)=(+34.000,+34.000)
求められた点Eを含む四角形ABEFとFECDは面積が等しいため、四角形ABCDを二等分したものと考えられます。そのため四角形ABEFとFECDそれぞれの面積は四角形ABCDの面積(1,432.000m2)の半分なので
ABEF=FECD=1432.000÷2=716.000 m2
点Fの座標を求めていきます。点FのX座標は点A,Dを結ぶ直線状にあるので点A,DのX座標を見ると2点ともX=+8.000mだから点FのX座標も+8.000となります。
ここで点FのY座標をyとして四角形ABEFの求積表を作っていきますが、ここで点Aを座標原点として仮に置きこの時の点FのY座標をy’(y’=y-8.000)として考えることで計算を楽にして求積表を改めて作ります。

 XYYn+1-Y n-1X(Yn+1-Y n-1)
A00-y’0
B32026832
E2626y’26y’
F0y’-260
倍面積   1432
面積   716
求積表

求積表から
1432=832+26y’
600=26y’
y’=23.0769⋯≒23.077
y=y’+8.000=23.077+8.000=31.077m
よって、点FのY座標は31.077mとなります。

【R3測量士試験過去問題解説第7回】午前No.25

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第7回です。
 以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。
〔No.25〕

 図25に示すように,中心杭No.0からNo.12に向かう途中で縦断勾配がi 1=-4%からi2=+4%に変移する道路がある。自動車運転の安全性の観点から,勾配の変移に伴う衝撃を緩和するため,この道路に縦断曲線を挿入したい。この道路の縦断勾配の変移する箇所が No.5+5 mのとき,縦断曲線の始点はどこか。最も近いものを次の中から選べ。

 ただし,道路の設計速度は50 km/h,中心杭間距離は20 mとし,縦断曲線半径R の数値は表25を用いる。また,変移前後の勾配の差が小さく,さらに,両勾配の絶対値が等しいことから,挿入する縦断曲線の曲線長を式25によって求め,その長さを挿入曲線の始終点間の水平距離と同一視して差し支えないものとする。

 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

式⋯25

1. No.2+9m
2. No.3+5m
3. No.3+13m
4. No.3+17m
5. No.4+13m

解答は4です。以下、解説です。

 縦断曲線の始点を求める問題です。No5+5地点が縦断勾配の変移する箇所=縦断曲線の中央だから、まずは縦断曲線の曲線長を求めます。縦断曲線の曲線長は式25で求めることができます。i1とi2は問題文中で与えられているのでRについて考えます。Rは表25より求められ、問題文中の設計速度50km/hと図25の曲線形状が凹型曲線だから縦断曲線半径Rは700mとなります。これを式25に代入して
L=(|4-(-4)|/100)×700
L=(|8|/100)×700
L=0.08×700
L=56m
縦断曲線長は56mと求められました。

縦断曲線の曲線長を縦断勾配変移点から中心に半分にすれば曲線の始点と終点が求められます。縦断勾配変移点は中心杭No.5から5m進んだところなので
縦断勾配変移点=20×5+5=105
縦断勾配変移点は中心杭No.0から105mの位置にあるということになります。

縦断曲線の始点は
105-(56/2)=77
中心杭No.0から77mの位置にあります。

中心杭は20m毎に設置されているので
77÷20=3⋯17
よって始点はNo.3+17mの位置にあるため、解は4となります。

【R3測量士試験過去問題解説第6回】午前No.18

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第6回です。

以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。

〔No.18〕
 標高が200 mから500 mまでの範囲にある土地の鉛直空中写真撮影で,撮影範囲全体にわたって同一コース内の隣接空中写真間の重複度が最小で60 %となるように計画したい。撮影基準面の標高を200 mとするとき,撮影基準面における同一コース内の隣接空中写真間の重複度は何%となるか。最も近いものを次の中から選べ。
 ただし,画面距離 7 cm,画面の大きさ17,000画素×11,000画素,撮像面での素子寸法 6 μmのデジタル航空カメラを使用するものとし,画面短辺が撮影基線と平行であるとする。また,空中写真の撮影は等高度で,撮影基線長は撮影範囲全体にわたって一定であるとし,撮影基準面での地上画素寸法は15 cmとする。
 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

1. 57%
2. 62%
3. 67%
4. 72%
5. 83%

解答は3です。以下、解説です。

 この問題では撮影基準面での隣接空中写真の重複度(以下:OLと表記)を求める問題です。問題文中でこのOLについて数値付きで言及があるのは最小OLが60%となるという部分です。ここでOLが最小となるのは撮影範囲で標高が最も高い部分である標高500mの範囲の土地を撮影するときです。そのため、標高200mのときの撮影状況と、標高500mの撮影状況を比較することで解が得られます。

 まずは、多くの情報が与えられている撮影基準面で撮影した際の情報を図にしてみます。

 与えられている情報を整理すると上図のようになります。ここから撮影基準面での撮影高度Hを求めます。
三角形の比を用いて
6×10-6:0.15=0.07:H  ※(計算しやすいように単位をmに統一しています)
(6×10-6)×H=0.07×0.15
6×10-6H=0.0105
H=0.0105/6×10-6
H=1750m
 以上より撮影基準面での撮影高度は1750mと求められました。
 これにより、撮影は等高度で行われているため標高500mのときの撮影高度H’を求めることができます。
H’=1750-(500-200)
H’=1450m

 次に問題文中で撮影範囲全体にわたって一定と述べられている撮影基線長を求めます。
撮影基線長を求める公式は

B:撮影基線長
S:写真画面の長さ
OL:隣接空中写真間の重複度

を用います。

 ここで先に撮影基準面の写真画面の大きさを求めます。
画面短編が撮影基線と並行なので画素数の少ない11000画素と撮影基準面の地上画素寸法15cmを用います。
0.15×11000=1650m
 撮影基準面の写真画面の大きさを求めることができましたが、OLが分からないので上式に当てはめることができません(撮影基準面のOLを求める問題のため当たり前ではあるが)。そこで文中にある最小OL60%のとき、つまり標高500mでの撮影時の写真画面の大きさを求めます。

 上図のように標高200mの時と標高500mの2つの撮影時の値を三角形の比で比較して計算を行います。
1750:1450=1650:S’
1750×S’=1650×1450
1750S’=2392500
S’=2392500/1750
S’=1367.1⋯≒1367m

標高500mの時の撮影基線長は
B=S’{1-(OL/100) }
B=1367{1-(60/100) }
B=1367・0.4
B=546.8m

 撮影基線長は546.8mと求められました。問題文中「撮影基線長は撮影範囲全体にわたって一定」とあるので異なる標高であっても撮影基線長は変わりません。そこで式に撮影基準面である標高200mの時の値を用いてOLを求めます。

B=S{1-(OL/100) }
546.8=1650{1-(OL/100) }
546.8=1650-16.5OL
16.5OL=1650-546.8
16.5OL=1103.2
OL=1103.2/16.5
OL=66.8⋯≒67

よってOL=67%となり、選択肢3が正解となります。

【R3測量士試験過去問題解説第5回】午前No.15

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第5回です。

以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説していきます。

〔No.15〕
トータルステーションを用いて細部測量を実施した。既知点Aから求める点Bを観測し,方位角T=25°,距離S=190mを得た。この測量において,距離測定の標準偏差が5.95 mm,角度測定の標準偏差が5″であるとしたとき,求める点Bの位置の標準偏差は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。ただし,角度1ラジアンは,(2 ×105 )″とする。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

1. 4.8 mm
2. 6.0 mm
3. 6.2 mm
4. 7.0 mm
5. 7.6 mm

解答は5です。以下、解説です。

 問題文より角度と距離について標準偏差を考慮して表記すると、方位角はT=25°±5″、距離はS=190m±5.95mmとなります。求めるのは位置の標準偏差なので角度と距離、2つの標準偏差を長さの単位に揃えます。

  まず、角度の測定による標準偏差を求めます。はじめに角度測定の標準偏差の表記を度数法からメートル法への変換を行います。ここで、ラジアンについての情報が問題文中で与えられているのでこれを用いて変換します。角度の標準偏差5″をラジアンへ変換します。問題文より1ラジアンは(2 ×105 )″だから

となります。

ここで水平位置の標準偏差を求めます。方位角の標準偏差は解説図-1の様に表すことができます。

解説図-1

ここから、ラジアンの定義を用います。

解説図-2

解説図-2より中心角がθで半径がrの扇形の弧の長さlの円弧として考えます。この定義は式1-1で表すことができます。

式1-1

角度による標準偏差を弧の長さlとして、半径rを距離190000mm(190m)、θを求めたラジアン2.5×10-5radとします。これを代入すると

であり、角度による水平位置の標準偏差は4.75mmとなります。

距離の標準偏差はメートル法で単位を揃えられているため、5.95mmをそのまま距離による標準偏差とします。

距離と角度のそれぞれの水平位置に関する標準偏差が求められました。これより位置の標準偏差を求ます。

となり、点Bの位置の標準偏差7.6mmが得られます。

解説は以上です。

【R3測量士試験過去問題解説第4回】午前No.13

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、令和2年度試験版の第4回です。

以下、「国土地理院」サイトの 令和2年11月22日の問題を引用して解説して行きます。

〔No.13〕
水準点AからEまで水準測量を行い,表13の観測結果を得た。1 kmあたりの観測の標準偏差は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

正解は2です。

公共測量作業規定の準則 付録6 計算式集より

m0を求めていきます。
まず観測の標準偏差を求めるための準備として表を作成します。表を作成することで途中経過が残り、計算ミスに気が付きやすくなります。

表の結果を水準測量観測の標準偏差を求める公式に当てはめると

よって0.54mmの2が答えになります。