【H27測量士試験過去問題解説 第10回】午前No.28

測量士試験の過去問題を解くシリーズ第10回です。

H28測量士試験前のシリーズ更新はこれが最後ということで、H27年度午前問題で最後に一つ未解説の計算問題、No.28を解いてみましょう。

[H27-午前No.28 問題]
 図28は,ある河川の横断面を模式的に示したものである。この横断面で計画高水量を224m^3/sとしたとき,河床から堤防天端までの高さHは幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
 ただし,計画高水位から堤防天端までの高さ1.2m,中央部(a)断面の高水時の平均流速v_a=2.0m/s,左右の(b)断面の高水時の平均流速v_b=1.0m/s,堤防の法勾配は1:2とする。

img000112

1. 5.0m
2. 5.7m
3. 6.2m
4. 6.9m
5. 7.5m

※ べき乗は「^」で、添字は「_」で記しています。

この問題、ここ数年ではあまり見ない形だなと思った方も多いのではないでしょうか。ともあれ、ありがたいことに図が示されています。河床、堤防天端、計画高水位といった用語については気にせず解答していく事ができそうです。

さて、解答にあたっては

  1. 「計画高水量」についての捉え方
  2. 未知数の置き方

に注意して、なるべく問題をシンプルに捉えられるようにしましょう。

「計画高水量」は高水時、ある時点のある断面に対してこれから1秒間に流れ込む水の量と考えます(そうするとこれから1秒間に流れ込む水を図示しやすくなります)。また、未知数は(b)部分で考えた河床から計画高水位までの高さとするとすっきり図をまとめることができます。

こんな感じです(※)。

img000111

 

あとは、

((a)を底面とする六角柱の体積)
+ (各(b)を底面とする五角柱の体積) × 2 = 224

からx(m)を導けば、H(m) = x + 3 + 1.2(m)です。

((a)を底面とする六角柱の体積)は
[{(10 + 6 + 6) + 10} × 3  ÷ 2 + (10 + 6 + 6) × x]  × 2 (m^3)

(各(b)を底面とする五角柱の体積) × 2は
[{(8 + 2 × x) + 8} × x ÷ 2 ] × 1 × 2(m^3)

なので、整理すると

x^2 + 30x – 64 = 0

となります。これを因数分解すれば

(x + 32)(x – 2) = 0

となり、題意から0<xでx=2です。ここからHは6.2mとなるので、正答は3となります。

 

 

 

解答を見てみると「えっ!こんな簡単な話でよかったん?」という内容だったのではないでしょうか。焦らずに取り組む時間さえあれば難しい問題ではないので、知識問題をスラスラとこなせるようにしておき、解答時間を確保できるとよいですね。

それでは、試験に挑戦される皆様、頑張ってください!成功を願っています!

※ 「法勾配1:2って横が1なん?高さが1なん??」と焦ったら落ち着いて(a)の下側の体積を両方のパターンで求めてみましょう。

(10 + 22) × 12 ÷ 2(m^2) × 2(m) = 384(m^3) > 224(m^3)

となるので、高さが1と判断できます。

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