【H30測量士試験過去問題解説 第9回】午前No.25

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、H30年度試験版の第9回です。

以下、「国土地理院」サイトの平成30年5月20日の問題を引用して解説して行きます。

[H30-午前No.25 問題]

〔No.25〕
  図 25 に示すように,一般道路1,2及び3に接続する道路 P1 ~ P6 の建設を計画している。一般道路1,2及び3はいずれも直線であり,一般道路2と一般道路3は平行である。新しい道路は,クロソイド曲線と円曲線と直線を組み合わせたもので,点 P1 及び P4 はクロソイド曲線始点,点 P2 及び P3 はクロソイド曲線終点,曲線 P2 ~ P3 は円曲線である。また,直線 P4 ~ P5 と一般道路2は直交するものとする。このとき,新しい道路 P1 ~ P6 の路線長は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
  ただし,円曲線半径 R=100 m,クロソイドパラメータ A=95 m,交角 I=90°とし,直線 P4 ~ P5 の長さは 137 m とする。また,一般道路2と一般道路3の間隔は 90 m,P5 における P4 から P6 に対する方向角は 150°,円周率π =3.142 とする。
  なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。



  1. 384 m
  2. 436 m
  3. 488 m
  4. 495 m
  5. 564 m

新しい道路 P1 ~ P6の路線長は、問題から5つの路線長の和で表す事ができます。
下記のように5つの路線長をそれぞれL1,L2,L3,L4,L5で表します。

\[
\begin{align*}
L1 & = クロソイド区間(P1-P2) \\
L2 & = 円曲線区間(P2-P3) \\
L3 & = クロソイド区間(P3-P4) \\
L4 & = 直線区間(P4-P5) \\
L5 & = 直線区間(P5-P6) \\
P1-P6の路線長 & = L1+L2+L3+L4+L5
\end{align*}
\]

まず、クロソイド区間(P1-P2)のL1を求めます。問題文から変数を下記の様に置きます。

\[
\begin{align*}
A & = 95 m(クロソイドパラメータ) \\
R & = 100 m(円曲線半径) \\
L1 & = クロソイド区間(P1-P2)
\end{align*}
\]

下記のクロソイド曲線長の公式を用いてL1を求めます。

\[
\begin{align*}
R \times L1 & = A^2 \\
L1 & = \frac{A^2}{R} \\
& = 90.25m…(1)
\end{align*}
\]

次に、円曲線区間(P2-P3)のL2を求めます。問題文から変数を下記の様に置きます。

\[
\begin{align*}
L1 & = 90.25m(クロソイド曲線長)…上記(1)より \\
L3 & = 90.25m(クロソイド曲線長)…上記(1)より \\
R & = 100 m(円曲線半径) \\
π & = 3.142 \\
I & = 90°(円曲線の交角) \\
t(タウ)& = 接線角 \\
θ & = 円曲線の中心角 \\
L2 & = 円曲線長 \\
\end{align*}
\]

続いて、クロソイドの公式から接線角 t(タウ)は下記のように求まります。

\[
\begin{align*}
t(タウ)& = \frac{クロソイド曲線長}{2 \times 円曲線半径} \\
    & = \frac{L1}{2R} \\
& = \frac{90.25}{2 \times 100} \\
& \fallingdotseq 0.45
\end{align*}
\]

t(タウ)は、ラジアン単位なので、度数単位のt(deg)に変換します。

\[
\begin{align*}
t(deg)& = t(タウ)\times\frac{180}{π} \\
& = 0.45\times\frac{180}{3.142} \\
& \fallingdotseq 25.78
\end{align*}
\]

円曲線長L2を求めます。L2は半径R、中心角Θの円弧なので、t(deg)と、円曲線の交角Iから下記のように求まります。

\[
\begin{align*}
L2 & = 2 \times π \times R \times \frac{θ}{360} \\
& = 2 \times 3.142 \times 100 \times \frac{I – 2 \times t(deg)}{360} \\
& \fallingdotseq 2 \times 3.142 \times 100 \times \frac{90 – 2 \times 25.78}{360} \\
& \fallingdotseq 67.10
\end{align*}
\]

クロソイド区間(P3-P4)のL3は、L1と同じ値なので、90.25mです。

直線区間(P4-P5)のL4は、問題文から137mです。

次に、直線区間(P5-P6)のL5を、問題文と三角関数を用いて求めます。

\[
\begin{align*}
h & = 一般道路2と一般道路3の間隔 \\
& = 90m \\
\cos 30° & = \frac{h}{L5} \\
L5 & = \frac{h}{0.86603} \\
& \fallingdotseq 103.92
\end{align*}
\]

以上から、P1−P6の路線長は下記のように求まります。

\[
\begin{align*}
P1-P6の路線長 & = L1+L2+L3+L4+L5 \\
& \fallingdotseq 90.25 + 67.10 + 90.25 + 137.00 + 103.92 \\
& \fallingdotseq 488.62
\end{align*}
\]

よって選択肢のなかで最も近い値は488なので解答は3となります。

以上です。


[待つ鴨の足も止まりてニテコ池]

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