測量士試験の過去問題を解くシリーズ、H30年度試験版の第7回です。
以下、「国土地理院」サイトの平成30年5月20日の問題を引用して解説して行きます。
[H30-午前No.17 問題] 標高が 300 m から 800 m までの範囲にある土地の鉛直空中写真撮影で,撮影範囲全体にわたって同一コース内の隣接空中写真間の重複度が最小で 55 %となるように計画した。撮影基準面の標高を 300m とするとき,撮影基準面における同一コース内の隣接空中写真間の重複度は最小で何%となるか。 最も近いものを次の中から選べ。 ただし,画面距離 10 cm,画面の大きさ 14,000 画素×9,500 画素,撮像面での素子寸法 10 μm のデジタル航空カメラを使用するものとし,画面短辺が撮影基線と平行であるとする。また,空中写真の撮影は等高度で,撮影基線長は撮影範囲全体にわたって一定であるとし,撮影基準面での地上画素寸法は20 cm とする。 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 1. 60 % 2. 63 % 3. 66 % 4. 69 % 5. 73 %
正答は、3です。
この問題は空中写真撮影における、基準面のオーバーラップ(同一コース内の隣接空中写真間の重複度)の割合を求める問題です。
何度か似たような問題を解かれている方は「撮影基準面における同一コース内の隣接空中写真間の重複度は最小で何%となるか」という文言の最小という部分に引っ掛かりを覚えるかもしれませんが、基準面は撮影範囲の最低高度と同一としてあり、その他条件も提示されていないため通常通り解いていって問題ありません。
模式図を作成すると下のようになります。
こちらの図内のSrpにおけるOLrpの割合を求めていきます。
まず、対基準面高度Hrpを求めます。三角形の相似より、
とおけるため、
となります。
これより、
も、求められます。
また、これより、Sminと最小重複OLminの長さの差を求めます。
SminとSrpは平行であるため、基準面における最小重複OLrpの長さは
となり、これのSrpに対する割合を求めると、
となるため、正答の3が導けます。
オーバーラップ、サイドラップ(コース間の隣接空中写真間の重複度)に関わる計算問題は、イメージさえつかむことが出来れば理解しやすく、計算自体も簡単なものが多いので、余り馴れていない方もひとまず手を付けてみることをお勧めします。
No.17の解説は以上となります。