測量士試験の過去問題を解くシリーズ、H29年度試験版の第8回です。
今回はH29年度午前No.15の問題を解いていきます。
[H29-午前No.15 問題] トータルステーション(以下「TS」という。)を用いて,放射法により標高を求めたい。 既知点Aから求点B をTS で観測したところ,測定距離120.000 m,高低角30°00′00″を得た。 使用したTS の距離測定の精度(標準偏差)が5 mm+5×10-6D (D は測定距離), 角度測定の精度(標準偏差)が5″の場合,求点B の標高の計算結果の精度(標準偏差)は幾らか。 最も近いものを次の中から選べ。 ただし,TS による距離測定と角度測定は互いに影響を与えないものとし, その他の誤差は無視してよいものとする。 また,角度1 ラジアンは,(2×105)″とする。 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 1. 3.8 mm 2. 5.1 mm 3. 5.6 mm 4. 10.5 mm 5. 16.8 mm
正答は1です。
解説していきます。
この問題は、距離測定と角度測定の標準偏差から、標高の標準偏差を求める問題です。
となります。
これらは、前者が距離測定方向(AB方向)の誤差の範囲、後者が距離測定方向と直交する方向の誤差の範囲に該当するので、それぞれ標高方向の要素を取り出します。(下図参考)
まず、高低角30°00′00″より、距離測定による誤差の範囲の標高方向の要素は
また、距離測定方向と直交する方向の誤差の範囲の標高方向の要素は
となります。(巻末の関数表使用)
とおくことができ、この範囲におさまるのは解答番号1の3.8mmのみなので答えは1と解けます。
こちらの問題は基本的には図をイメージして、必要な形に変換していくのが解きやすいです。
また、今回の問題は昨年試験のNo.13の値が変わっているだけの問題です。解き方は同じですが、解説の流れや図の描き方は少々異なるので、参考程度にご覧になってください。
計算自体は難しくないので、ぜひ解き方を覚えてください。
No.15の解説は以上です。