測量士試験の過去問題を解くシリーズH28年度第8回目です。
今回はH28年度午前No.16の問題を解いていきます。
[H28-午前No.16 問題] 公共測量における空中写真測定により数値地形図データを作成する際の,地図情報レベルとデジタル航空カメラを用いて撮影する数値写真の地上画素寸法との関係は,表16のとおりである。 地図情報レベル2500の数値地形図データを作成するため,画面距離10cm,撮像面での素子寸法6μm,画面の大きさ17500画素×11500画素のデジタル航空カメラを用いて撮影を行う場合,最も適当な対地高度の範囲はどれか。次の中から選べ。 ただし,撮影する数値写真の同一コース内の隣接数値写真との重複度は60%とし,画面短辺が撮影基線と並行する。 1. 2,340m~2,925m 2. 2,760m~3,450m 3. 3,000m~3,750m 4. 3,640m~4,550m 5. 4,200m~5,250m
この問題は、空中写真撮影における特定の要素の値を、問題で与えられた他の要素の値や式から導出する計算問題です。求める値は、対地高度の範囲です。
表16の式を見ると、地上画素寸法を求める計算式内に対地高度:Hと基線長:Bの2つが変数として書かれています。ここから、地上画素寸法とBを定め、Hを求める形で問題を解いていきます。
まず、問題を分かりやすくするために模式図を描いてみます。
この模式図は、図の横方向が撮影コースと一致するように描いています。
の関係式が取り出せます。
(1)に与えられている値を代入して、Sについて整理すると、
ここで、表16の式と(2),(3),(4)を用いて、Hの範囲を求めます。まず、最低値は、
と求められ、答えは2となります。
模式図を正しく作図、あるいはイメージすることができれば、計算の内容自体は中学生くらいの数学で解くことができます。
その反面、問題文中の言葉や値がどういったものかがわからなければ図を作ることもできないので、空中写真測量の用語の理解を確認する問題と言えます。
No.16の解説は以上です。
質問です。初歩的な点で申し訳ないのですが、最後の式で6×10のー5乗を打ち消すために両辺に÷6×100000をしているのですが、この際に単位はどうなっているのでしょうか?6×10のー5乗の単位はmだと思うんですが、それだと式の右辺の単位がmmに揃えて計算ができていないような気がして腑に落ちません。
コメントありがとうございます。
ご質問承りました。
ここで扱っている6×10のー5乗はPに対するHの関係を表す値(比)なので、単位はありません。