【H28測量士試験過去問題解説 第3回】午前No.4

測量士試験の過去問題を解くシリーズH28年度第3回目です。

今回はH28年度午前No.4の問題を解いていきます。

次のa~eの文は,測量法(昭和24年法律第188号)における測量の基準について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組み合わせはどれか。次の中から選べ。

a.測量における距離及び面積は,測量法で規定する回転楕円体の表面上の値で表示する。
b.測量における位置は,地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。また,地心直行座標で表示してもよい。
c.回転楕円体の短半径及び扁平率の数値は政令で定められており,過去にこれらの数値が改正されたことがある。
d.測量の原点は日本経緯度原点及び日本水準点であり,これらの原点数値は政令で定められており,セミ・ダイナミック補正により定期的に改正されている。
e.日本水準原点の数値は政令で定められており,東京湾平均海面の高さを基準としている。


1. a,c
2. a,d
3. b,c
4. c,d
5. c,e

解答例は、

  1. a.→測量法第11条第1項第2号の表記ほぼそのままであり、明らかに間違っているとは言えない。
  2. b.→測量法第11条第1項第1号の表記ほぼそのままであり、明らかに間違っているとは言えない。。
  3. c.→測量法第11条第3項第1号の記述では「長半径」と表記されている部分が、問題文では「短半径」とされているので、明らかに間違っているといえる
  4. d.→前半は測量法第11条第1項第3号の内容通りであるが、後半に記載されている原点や水準点の再測量については、定期的に行われるものではないので明らかに間違っているといえる
  5. e.→前半の記述は測量法第11条第1項第4号の内容通りであり、後半の記述内容も正しいので、明らかに間違っているとはいえない。
  6. 以上より、明らかに間違っているのはcとdの二つ。よって正答は4

となります。

こちらは測量法第11条に加えて、そちらに直接は記載されていない測量の基準についても多少問われています。暗記問題と言えますが、実際に業務等でデータを扱われている方にはなじみ深い内容ばかりではないでしょうか。
a,b,cの全文およびdとeの前半については、測量法第11条の記載をご確認ください。(内容下記)

(測量の基準)
第十一条  基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。
一  位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。
二  距離及び面積は、第三項に規定する回転楕円体の表面上の値で表示する。
三  測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする。ただし、離島の測量その他特別の事情がある場合において、国土地理院の長の承認を得たときは、この限りでない。
四  前号の日本経緯度原点及び日本水準原点の地点及び原点数値は、政令で定める。
2  前項第一号の地理学的経緯度は、世界測地系に従つて測定しなければならない。
3  前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。
一  その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
二  その中心が、地球の重心と一致するものであること。
三  その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。

 
dの後半については、原点・水準点等は決まった期間ごとではなく、大きな地形的変動に対応して再測量されています。(日本経緯度原点・日本水準点は直近では平成23年東北地方太平洋沖地震後に再測量されています。)これは基準点についても同じことが言えます。
eの後半については測量法施行令第2条第2項第2号に明記されています。(内容下記)

(日本経緯度原点及び日本水準原点)
第二条二項 法第十一条第一項第四号 に規定する日本水準原点の地点及び原点数値は、次のとおりとする。
一  地点 東京都千代田区永田町一丁目一番二地内水準点標石の水晶板の零分画線の中点
二  原点数値 東京湾平均海面上二十四・三九〇〇メートル

 

No.4の解説は以上です。

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