測量士試験の過去問題を解くシリーズ、H29年度試験版の第2回です。
今年も、法規&計算問題を解説していきます。
今回はH29年度午前No.2の問題を解いていきます。
[H29-午前No.2 問題] 次の文は,国際地球基準座標系(International Terrestrial Reference Frame)(以下「ITRF」 という。)について述べたものである。 ア ~ エ に入る語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。 ITRF は,GNSS などの宇宙測地技術を用いた国際協力による観測に基づき構築・維持されている,三次元直交座標系の測地基準系である。 その座標系で表す地球上の位置は, ア を原点としたX,Y,Z の三次元直交座標で表すことができ, イ 軸は東経90度の子午線と赤道の交点を通る直線, ウ 軸は経度0度の子午線と赤道の交点を通る直線とし,エ 軸は回転楕円体の短軸と一致している。 ア イ ウ エ 1. 地球の重心 Z X Y 2. 北極点 X Y Z 3. 地球の重心 X Y Z 4. 北極点 Y X Z 5. 地球の重心 Y X Z
正答は5です。
解説は国土地理院ウェブサイト内の世界測地系移行に関する質問集(Q&A)((問1-7)ITRF系とは何か。)に記載されている通りです。(以下、引用)
(問1-7)ITRF系とは何か。
(答) ITRF系(International Terrestrial Reference Frame:国際地球基準座標系)とは、IERS(国際地球回転観測事業)という国際的な学術機関が構築している3次元直交座標系です。この座標系では、地球の重心に原点を置き、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、Z軸を北極の方向にとって、空間上の位置をX、Y、Zの数字の組で表現します。
(※グリニッジ子午線=経度0度の子午線)
これだけではなんですので、一応解答していきます。
まず、問題文中に出てくる言葉から簡単な図を描きます。
問題文の通りに、経度90度の子午線、経度0度の子午線それぞれの赤道との交点から、原点の候補である地球の重心、北極点に向かって線を引いてみます。
これを見ると北極点を原点とした場合の軸は明らかに互いに直交していないことがわかるので、アには地球の重心が当てはまります。
残りのイ、ウ、エの軸についてはは暗記が必要です。
エのZ軸は間違えにくい印象ですが、イのY軸、ウのX軸については記憶の中で逆転してしまわないように気を付けてください。
No.2の解説は以上です。