【H29測量士試験過去問題解説 第3回】午前No.3

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、H29年度試験版の第3回です。



今回はH29年度午前No.3の問題を解いていきます。

[H29-午前No.3 問題]
 次の文は,公共測量における測量作業機関の対応について述べたものである。明らかに間違ってい
るものはどれか。次の中から選べ。


1.  現地での測量作業において,作業者の安全の確保について適切な措置を講じるよう努めた。

2.  作業計画の立案を十分な実務経験のある測量士補に担当させ,工程管理及び精度管理は測量士に担当させた。

3.  現地作業員から測量作業地に柵で囲まれている場所があると連絡があった。立入りのため,あらかじめ土地の占有者に通知した。

4.  基準点測量において,既知点とする基準点を設置した測量計画機関から測量標及び測量成果の使用の承認を得るとともに,成果表の謄本の交付を受けた。

5.  測量計画機関から検定を受けるように指定された測量成果について,検定に関する技術を有する第三者機関に検定を依頼した。

正答は2です。

問題文を1から順に取り上げて解説していきます。

1. 現地での測量作業において,作業者の安全の確保について適切な措置を講じるよう努めた。

明らかに間違っているとはいえない。
わかりやすいので確認の必要はないかもしれませんが、作業規定の準則(国土地理院ウェブサイト)第10条にも明記されています。(以下引用)

(実施体制)
第10条 作業機関は、特に現地での測量作業において、作業者の安全の確保について適切な措置を講じなければならない。

2. 作業計画の立案を十分な実務経験のある測量士補に担当させ,工程管理及び精度管理は測量士に担当させた。

明らかに間違っている。
作業計画の立案、工程管理及び精度管理の統括は、選任された主任技術者が執り行います。この主任技術者は測量士でなければなりません。
作業規定の準則第9条に記載されています。(以下引用)

(安全の確保)
第9条 作業機関は、測量作業を円滑かつ確実に実行するため、適切な実施体制を整えなければならない。
2 作業機関は、作業計画の立案、工程管理及び精度管理を総括する者として、主任技術者を選任しなければならない。
3 前項の主任技術者は、法第49条の規定に従い登録された測量士であり、かつ、高度な技術と十分な実務経験を有する者でなければならない。
4 作業機関において、技術者として公共測量に従事する者は、法第49条の規定に従い登録された測量士又は測量士補でなければならない。

3. 現地作業員から測量作業地に柵で囲まれている場所があると連絡があった。立入りのため,あらかじめ土地の占有者に通知した。

明らかに間違っているとはいえない。
宅地、あるいは垣、柵で囲まれている場所に立ち入るには、土地の占有者への通知が必要です。こちらは測量法第十五条に記載されています。(以下引用)

(土地の立入及び通知)
第十五条  国土地理院の長又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、基本測量を実施するために必要があるときは、国有、公有又は私有の土地に立ち入ることができる。
2  前項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとする者は、あらかじめその占有者に通知しなければならない。但し、占有者に対してあらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
3  第一項に規定する者が、同項の規定により土地に立ち入る場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
4  前項に規定する証明書の様式は、国土交通省令で定める。

4. 基準点測量において,既知点とする基準点を設置した測量計画機関から測量標及び測量成果の使用の承認を得るとともに,成果表の謄本の交付を受けた。

明らかに間違っているとはいえない。
既存の測量成果を使用したい場合は、その測量成果を得た測量計画機関からからの承認が必要になります。測量作業機関には申請できないので、間違えないようにしてください。また、ここでいわれている成果表の謄本は、測量成果の写し、くらいに捉えてください。
この問題の内容は測量法第四十四条で確認してください。(以下引用)

(測量成果の使用)
第四十四条  公共測量の測量成果を使用して測量を実施しようとする者は、あらかじめ、当該測量成果を得た測量計画機関の承認を得なければならない。
2  測量計画機関は、前項の承認の申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その承認をしなければならない。
一  申請手続が法令に違反していること。
二  当該測量成果を使用することが測量の正確さを確保する上で適切でないこと。
3  第一項の承認を得て測量を実施した者は、その実施により得られた測量成果に公共測量の測量成果を使用した旨を明示しなければならない。
4  公共測量の測量成果を使用して刊行物を刊行し、又は当該刊行物の内容である情報について電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとろうとする者は、当該刊行物にその旨を明示しなければならない。

5. 測量計画機関から検定を受けるように指定された測量成果について、検定に関する技術を有する第三者機関に検定を依頼した。

明らかに間違っているとはいえない。
この問題もわかりやすい部類です。測量成果について検定を受ける際、第三者機関に依頼するという点を押さえておいてください。
詳細は作業規定の準則第15条に記載されています。

(測量成果の検定)
第15条 作業機関は、基盤地図情報に該当する測量成果等の高精度を要する測量成果又
は利用度の高い測量成果で計画機関が指定するものについては、付録3に基づく検定に
関する技術を有する第三者機関による検定を受けなければならない。

今回の問題のように、測量士にしかできないこと(作業計画の立案と管理)は扱われることが多いので、解けなかった方、初めて見た方はぜひ確認しておいてください。
No.3の解説は以上です。

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