【H27測量士試験過去問題解説 第6回】午前No.18

測量士試験の過去問題を解くシリーズ第6回です。

今回は暗記ではなく計算が必要な問題を、ということでH27年度午前No.18の問題を解いてみましょう。

[H27-午前No.18 問題]
 標高が200mから700mまでの範囲にある土地の空中三角測量で,撮影範囲全体にわたって同一コース内の隣接空中写真間の重複度が最小で55%となるように計画した。撮影基準面の標高を200mとするとき,撮影基準面における同一コース内の隣接空中写真間の重複度は最小で何%となるか。最も近いものを次の中から選べ。
 ただし,画面距離10cm,画面の大きさ14,000画素×9,500画素,撮像面での素子寸法10μmのデジタル航空カメラを使用するものとし,画面短辺が撮影基線と平行であるとする。また,空中写真は等高度で撮影する鉛直空中写真とし,撮影基準面での地上画素寸法は20cmとする。なお,撮影基線長は撮影範囲全体にわたって一定であるとする。


1. 55%
2. 61%
3. 66%
4. 71%
5. 73%

図が示されていると分かり易いのですが、文章しかありません。
ということで、ひとまず図を描いてみましょう。

まず、この問題で問われている

撮影基準面における同一コース内の隣接空中写真間の重複度

を図示してイメージを固めましょう。

img000100

こんな感じです。三角形の底辺が基準面(標高200m)で点線部分が標高700mです。てっぺんは撮影(カメラ)位置。実務経験がある方は感覚としてあると思いますが、標高の高いところは重複範囲が狭くなります。なので、現実の撮影計画では山あいで基線を短くしたりしますね。

さて、?%はなんぼ?というのがこの問題です。最終的にこの値を求めることを目標に、問題文に出てくる数値を図示すると、

img000099

こうなります。カメラの撮像面(CCD)側で”10μm”、撮影基準面(要は地面)で”20cm”と示しているのが、写真の1ピクセルに対応するものです。この図で

  1. μm,cm,画素といった単位をmに統一。
  2. レンズ中心を挟んだ三角形の相似から?をの値(m)を求める。
  3. “標高700m”の位置が定まるので書き込む。

と進めます。と、

img000101

こうなります。0.00001 : 0.2 = 0.095 : x からx=1900 などなど。

これを冒頭の図とうまく組み合わせると、

img000102

こうなります。二か所の長さは同じで1425 × 0.45(m)なので、求める重複度(%)は

100 × (1900 – 1425 × 0.45) ÷ 1900 = 66.25

よって、正答は3となります。

 

 

写真測量の問題は問われていることを図示できるかどうかが重要で、計算自体はとても簡単です。是非得点源にして下さい。

というところで、続きはまた今度。

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