【H29測量士試験過去問題解説 第4回】午前No.4

測量士試験の過去問題を解くシリーズ、H29年度試験版の第4回です。



今回はH29年度午前No.4の問題を解いていきます。

[H29-午前No.4 問題]
次のa ~ e の文は,地理情報標準プロファイル(以下「JPGIS」という。)について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。

a. JPGISは,空間データを異なるシステム間で相互利用する際の互換性の確保を主な目的に,空間データの整備及び利用の際のルールを規定したものである。
b. JPGISで定義する概念スキーマは,HTML(HyperText Markup Language)を使用して記述する。
c. JPGISを利用することで,空間データの種類,内容,構造,品質などを共通のルールで明確に記述した製品仕様書を作成することができる。
d. JPGISに定められているメタデータは,空間データに関する説明情報で,その記述方式として国際規格に準拠した日本版プロファイルであるMDP2011が定められている。
e. 国土地理院が整備した基盤地図情報は,JPGISに準拠して作成されており,インターネットで公開されている。

1. a,b
2. b,c
3. b,d
4. c,e
5. d,e

正答は3です。

問題文をaから順に、地理情報標準プロファイル(JPGIS)(国土交通省ウェブサイト)に基づいて解説していきます。

a. JPGISは,空間データを異なるシステム間で相互利用する際の互換性の確保を主な目的に,空間データの整備及び利用の際のルールを規定したものである。

明らかに間違っているとはいえない。

こちらは、国土交通省ウェブサイト内の2.地理空間情報の実用化(JPGIS化)でできること中に同様の記載があります。(以下引用)

JPGISは、GISの基盤となる空間データを、異なるシステム間で相互利用する際の互換性の確保を主な目的に、国際規格及び国内規格に準じて、データの設計、品質、記述方法、仕様の書き方等のルールを規定した実用標準です。

b. JPGISで定義する概念スキーマは,HTML(HyperText Markup Language)を使用して記述する。

明らかに間違っている。

正しくはUML(Unified Modeling Language)を使用して記述されます。UMLという言葉は見慣れない方も多いと思われますが、ざっくりと説明すると、システムや構造を見やすく図式化するための記法を標準化したものです。モデリング(Modeling)という部分に着目すると取っつきやすいのではないでしょうか。
この問題が解けなかった方は、UMLがどういうものか勉強するのが一番良いのかもしれませんが、試験対策としては[JPGISのスキーマの記述はUMLを使う]と丸暗記した方が簡単かもしれません。
こちらの問題については、JPGIS序文に記載されています。(以下引用)

「地理情報標準プロファイル(以下「JPGIS」という。)は,地理情報規格群の中から,地理空間情報の概念スキーマを記述し符号化するために必要となる基本的な要素を抽出し,体系化したものである。このプロファイルで定義するスキーマは,統一モデル化言語(UML:Unified Modeling Language)を使用して記述する。UML クラスには,属性,操作及び関連の三つの基本的な特性があるが,このプロファイルでは属性及び関連のみを扱う。」

c. JPGISを利用することで,空間データの種類,内容,構造,品質などを共通のルールで明確に記述した製品仕様書を作成することができる。

明らかに間違っているとはいえない。

問題文aの解説に書いてあるように、JPGISは空間データを利用する際のルールを規定しているため、可能です。

d. JPGISに定められているメタデータは,空間データに関する説明情報で,その記述方式として国際規格に準拠した日本版プロファイルであるMDP2011が定められている。

明らかに間違っているといえる。

国際規格に準拠した日本版プロファイルの名称はJMP2.0(Japan Metadata Profile 2.0)です。
問題文に使われているMDP2011という名称のプロファイルは存在しないものですが、正解のプロファイルの名称がJapan Metadata Profile 2.0とシンプルなことに加え、[Metadata Profile]という言葉と親和性が高いのでケアレスミスに気を付けてください。

e. 国土地理院が整備した基盤地図情報は,JPGISに準拠して作成されており,インターネットで公開されている。

明らかに間違っているとはいえない。

基盤地図情報は、国土地理院ウェブサイトの基盤地図情報サイトで公開されています。また、同ウェブサイト内のお知らせ等にJPGIS形式であることも明記されています。

No.4のの解説は以上です。

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